大判例

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札幌家庭裁判所 事件番号不詳 決定

少年 K子(昭一六・九・一八生)

主文

本件を札幌地方検察庁の検察官に送致する。

理由

(罪となるべき事実)

少年は性来智能低く、加うるに失恋による心の傷手から自閉抑うつ状態に陥いり、肩書住居地のY方に女中として稼働中も仕事が手につかず、自己に対する嫌悪感から厭世的となり、死を強く意識していたところ、たまたま昭和三十六年四月十二日昼過ぎ頃、砂川市字○○××通称○田農道路上において、S(当四才)が一人で泣いているのに出会い、最初のうちは同人の手を引き、或いは背負うなどして泣き止ませようとしたが、いつまでも泣き止まないためいささか憤然となり、同時に、同人を殺害して自分も死刑になつて死のうという考えをふと抱くに至り、同日午後一時頃、右路上において、附近に積んであつた長さ一・五二米、長経約二・五糎乃至五糎の落葉松丸太を取り上げ、同人の頭部を二、三回殴打し、よつて、同人を蜘網膜下出血および脳挫創により即死させた上、直ちに、通りがかりのKに対して、殺害して来た旨告知したものである。

(罰条)

刑法第百九十九条

(刑事処分を相当と認めた理由)

本件は、精神薄弱者たる少年の精神異常状態において突発的に敢行されたものであること。犯行後直ちに通行人に対して自己の犯行を告知していること。その後精神の緊張が解けて強く反省悔悟していること等、主観的な面においてはまことに情状憫諒すべきものがあるが、その反面、何の罪科もない可憐な幼児を自己抹殺の手段として利用しようとしたこと春秋に富む幼児の生命を瞬時にして絶ち、その両親をして悲歎のどん底に陥れたこと。またこれにより社会の耳目を聳動せしめたこと等、客観的な面からながめた場合その責任は極めて重大である。

本件においては、右事情、その他少年の素質・環境、経歴、行状および本件犯罪の罪質、情状等をつぶさに検討し、特に被害者両親の少年に対する感情および少年の罪障感浄化の過程等をも綜合的に勘案考慮した上、少年を刑事処分に付するのを相当と認めた。

よつて少年法第二十三条第一項第二十条、少年審判規則第二十四条に則り主文のとおり決定する。

(裁判官 日野原昌)

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